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PASSIONEER


À la recherche du temps perdu ― 表と裏の融合。和裁がたどり着いたオートクチュール
祖母が遺したカシミアのコート。その内側に、新しい絹の物語が宿る。 洋装用の絹地。男性のジャケットの裏地とか? イタリア製の洒落た上着に使われそうな。 手のひらに載せると、てろんとした肌触り。 絹特有のものだ。 祖母のカシミアのコート裏地に使用してどういう見栄えか想像することはたやすい。 冒険なのは息子の羽織に使用すること。総裏にして大丈夫か? 12歳の子供に重くないのか? 仕立ててからやっぱり合わなかったでは悲しすぎる。 表は静かなブルーグレー、裏には賑やかな幾何学模様。表と裏、二つの物語。 そんな心配とは裏腹に息子の色無地羽織は大成功を収めた。 薄いブルーグレーのおとなしい色の裏側には ダイヤが連なり、キラキラと輝いていた。 時代が異なり、対象の素材も異なる。 にもかかわらず、この二つの素材は融合し引かれ合い、新しいステージへと旅立つ。 拒絶するのではなく、手を取り合い、庇いあい、何年もの間忘れられていた存在を 今改めて目の前に曝け出した。 絹は生きている。 息をしている。 お互いに話し合い、お互いの都合を考え支え合うのだろうか。...

Hamanaka Akiko
7月30日読了時間: 2分


À la recherche du temps perdu ― 絹糸がつなぐもの
祖母が残してくれたカシミアのコート。黒い毛織りの内側に、フランスの絹が新しい命を吹き込まれる。 フランスの友人が絹の生地をくれた。彼女のおばあさまが保存していたらしい。 幾何学模様の非常に滑らかなしっとりとした、流れる光沢。ああ、絹の輝きと肌触りがしっかりと感じられる。 日本製の絹糸で、リヨンで織られたと信じてる。根拠はゼロ。 「おばあちゃんが持ってたの、でもいつの頃のものかはわからない。私より、晶子の方が上手に使えると思って」 友人はそう言って私にこの生地を譲ってくれた。 決して軽くはない、かといってずっしりとしているわけではない。絹特有の生きている証、息遣いが感じられる。絹は生きているのだ。毛糸と同じく動物性の糸。空気を吸って生きている。 洋装地として作られていることはわかる。着物の羽裏地や羽二重とは全く異なる重量。とはいえ、何十年も黙って出番を待ち続けていた役者をこのまま引退させるわけにはいかない。 私の祖母が残してくれたカシミアのコート。敬意を払って最高のパートナーを見つけた。真っ黒な顔の裏には、キラキラと輝くダイヤ。...

Hamanaka Akiko
7月24日読了時間: 2分
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