【裏勝りの美学】一見シックな紬のコートが、脱いだ瞬間に放つ「衝撃」
- Hamanaka Akiko

- 11月21日
- 読了時間: 2分
これは羽織をDuster Coatに変えたものです。単衣のコート。
深く、落ち着いたお召し)。
時を経たヴィンテージ・シルクだけが持つ、静かで力強い佇まいです。
しかし、真の価値は「裏」にあります。

ハッとするような鮮烈な赤。そして、大胆に染め抜かれた巨大な家紋。 これが日本の伝統的な美意識、「裏勝り(Uramasari)」です。
派手すぎる?
さらに、この裏地には驚くべき物語があります。 鮮烈な赤と家紋。このデザインのオリジナルは、日本の戦国時代(Samurai era)に、織田信長が豊臣秀吉に与えた「陣羽織(Jinbaori)」です。 そして、その歴史的な本物は、現在ニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されています。
私は、MoMAがそのデザインを復刻して販売しているスカーフを手に入れ、大胆にもハサミを入れ、このコートの裏地として仕立て直しました。
MoMAに行けば、スカーフは買えるかもしれません。 しかし、ヴィンテージ紬と組み合わせ、和裁の技術で一着のコートに昇華させたものは、世界にこれ一つしか存在しません。 あなたは「戦国の歴史」と「MoMAのアート」を、同時に纏うことになるのです。
表向きは質素倹約を装いながら、誰にも見えない裏地や長襦袢に最高の贅沢を注ぎ込む。江戸時代から続く、日本の「粋(いき)」な遊び心です。 コートを脱ぎ、ハンガーにかけた瞬間、その場の空気が変わるほどのアートが現れる。これは、あなただけの密かな楽しみです。

裏は隠されたアート。 このコートは、単なる衣服ではありません。纏うことのできる歴史と美学です。
最後までお読みいただきありがとうございます!




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