七五三の着物を「大人仕様」に再生!「捨てるのは嫌」七五三の着物を大人用へ蘇らせる、感動の仕立て直し事例
- Hamanaka Akiko

- 11月10日
- 読了時間: 4分

タンスの奥で眠る「小さな思い出」
七五三の着物。ご両親や祖父母の愛情がたっぷり詰まった大切な一枚だから、タンスの奥に大切にしまってある。しかし、サイズも色柄も子ども向けで、もう着る機会はない...。
でも、「いつかまた袖を通したい」「この思い出をタンスの肥やしにしたくない」という気持ち、強くありますよね。
実は、その小さな着物を、染め直しと仕立て直しという伝統技術の魔法で、「大人の訪問着」として素敵に蘇らせることが可能です。今回は、長年眠っていた私自身の七五三の着物を、現代的な一着へと再生させた感動のリメイクストーリーをご紹介します。
「仕立て直しは本当にできるの?」と不安に思っているあなたの疑問を解消し、次の一歩を踏み出すお手伝いができれば幸いです。
Q. 小さな着物は本当に大人サイズになる? 仕立て直しで解決できる2つの課題
七五三の着物をリメイクする際に、誰もが最初に抱く最大の疑問は、この2点です。
「サイズ」の問題: 子ども用の布幅や仕立てでは、身丈が足りない、裄(ゆき)が短すぎる。大人の体型にするには、どう布を足すのか?
「色柄」の問題: 子どもらしい鮮やかな色や柄を、どう落ち着いた大人の雰囲気に変えるのか?
今回の記事では、この二つの課題をプロの技術で乗り越え、思い出の生地を最大限に活かすことを目指します。

【事例紹介】ステップ1:色柄を現代的にする「染め直し」の全工程
仕立て直しに着手する前に、まずは色柄の変更から行いました。
元の着物(例:鮮やかな朱色やピンク)は、愛らしい思い出そのものですが、大人のフォーマルな場には少し派手すぎます。そこで、生地の質感を最優先に、全体を深い紫に染め直しました。
染め直しは、元の生地の風合いを保ちながら、色だけを劇的に変える魔法のような工程です。元の鮮やかな柄が、シックな地色に沈むことで、上品で品格のある「大人の訪問着」に生まれ変わりました。この工程を踏むことで、「柄が好きだけど色を落ち着かせたい」という願いが叶います。
【写真3挿入位置:染め直しの前後比較の写真、または染め直した生地のクローズアップ】

次に最大の難関、大人用サイズへのサイズアップです。
子ども用の布幅では、大人の身丈(背の高さ)や裄丈(腕の長さ)には全く足りません。ここでプロの職人技が光ります。
布の継ぎ足し技術: 不足している身丈の部分は、長い袖丈を切り、帯下に丁寧に継ぎ足します。
八掛(裏地)の活用: 共八掛を同じく染め直して大人らしいバランスに整えました。
仕立て直し後の着物は、パッと見では継ぎ目があることが分からないほど、自然でなめらかな仕上がりです。これで、思い出の着物が、現代の私の体型にぴたりと合う「世界に一つだけの訪問着」として完成しました。

着物リメイクの気になる「費用と期間」は?
仕立て直しをご検討中の方が最も気になる「費用」についてもお答えします。
着物リメイクは、元の着物の状態(シミやヤケの有無)、選ぶ染めの技法、継ぎ足し布の質などによって費用が大きく変動するため、必ず専門家による見積もりが必要です。
しかし、一般的に目安として、染め直しは15000円〜、仕立て直し(大人サイズへのサイズアップ)は20000円〜が目安となります。
また、期間としては、デザインの相談から職人による染めや仕立ての工程を経て納品まで、通常2~6か月程度を見ておくと良いでしょう。着用したい期日がある場合は、余裕をもってご相談ください。

タンスの肥やしから「一生モノ」へ。着物リメイクがもたらす価値
袖を通すたびに、七五三の日の記憶や、着物を贈ってくれた家族の温かい想いが蘇ります。この着物は、単なる「服」ではありません。家族の愛と、過去の思い出を現代に繋ぐ「動く美術品」「一生モノ」です。
七五三の着物のリメイクは、サステナブルであり、家族の絆を深める素晴らしい選択です。タンスに眠らせておくのは本当にもったいない!ぜひ、あなたの愛しい着物にも新しい命を吹き込んでみませんか。
着物リメイクのご相談はこちらから
ご自身の着物の状態を見て、染め直しや仕立て直しが可能か確認したい方は、まずはお気軽にご相談ください。




コメント