漆描き羽織 ― 黒地に映える伝統技法の魅力
- Hamanaka Akiko

- 9月23日
- 読了時間: 2分
更新日:10月22日

着物や羽織の中でも、ひときわ存在感を放つのが「漆描き羽織(うるしがきはおり)」です。黒地に艶やかな漆の文様が浮かび上がる姿は、控えめでありながらも強い印象を残します。この記事では、漆描きの歴史や技法、そして現代での楽しみ方をご紹介します。
漆描きとは?
漆描きは、日本の伝統工芸のひとつで、布地に漆を使って模様を描く技法です。漆といえば蒔絵や漆器が思い浮かびますが、実は昭和初期から戦後にかけては着物や羽織にも盛んに用いられていました。
漆を施すことで布地の表面に光沢と立体感が生まれ、織や染めにはない独特の輝きが楽しめます。
黒地に漆が映える理由
黒の羽織はもともとシックで落ち着いた印象ですが、そこに漆描きが加わることでぐっと華やかさが増します。
艶やかなコントラスト:黒の深みに漆の光沢が浮かび上がり、上品なきらめきを演出。
光と動きによる表情:角度や光の加減で模様の見え方が変化し、動きのある美しさを楽しめます。
古典とモダンの融合:伝統的な技法でありながら、現代的なファッション性を感じさせます。

漆描きの技法と文様
漆描きは、防水加工を施した布地に筆や型で漆を置いて描き出します。乾くと艶と凹凸が浮かび、触れるとわずかに立体感を感じられるのが特徴です。
模様には、松竹梅や菊などのおめでたい吉祥文様、または幾何学的な抽象模様などがあり、ひとつひとつが職人の手仕事によって生み出されています。

現代における楽しみ方
近年、漆描きの羽織はアンティーク着物好きの間で人気を集めています。
フォーマルに:訪問着や色無地に合わせると、品格と華やぎを添えられます。
カジュアルに:紬や小紋に羽織って、モダンで粋な着こなしに。
インテリアに:飾って眺めるだけでも、漆の艶と文様はアート作品のような存在感を放ちます。
黒地に漆描きが施された羽織は、伝統技法の粋と美意識が詰まった一着です。光の中で表情を変える漆の輝きは、身にまとう人をより一層引き立ててくれます。
アンティークとして出会う機会があれば、ぜひ手に取って、その艶やかな魅力を味わってみてください。




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