長襦袢が嫁ぐ日
- Hamanaka Akiko

- 9月7日
- 読了時間: 3分
長襦袢。着物姿を支える、最も重要な「縁の下の力持ち」です。
先日、奥様をなくされた方から、ほぼ新品の美しい長襦袢を譲り受ける機会がありました。正絹の滑らかな肌触り、控えめながらも格調高い地紋。その方の温かいお気持ちに、心から感謝したものです。
しかし、いざ袖を通してみると、残念ながら私には袖丈がわずかに合わず、このまま仕舞い込んでしまうのはあまりにももったいないと感じていました。
良い物は、使われてこそ活きる。
そんな想いから、私は一つの「和のバトン」を渡すことを決意しました。

「タンスの肥やし」にしたくない!葛藤と決断
いただいた長襦袢は、着物として最高の品質と格を持っていました。礼装にも使えるような品でしたので、なおさら「どうにかしたい」という気持ちが強かったです。
ただ、長襦袢は着物とは違い、袖丈や裄が合わないと着付けが非常に難しいアイテムです。悩んだ末、この長襦袢を今すぐに必要とし、サイズが合う方に使ってもらうのが一番だと腹をくくりました。

新しい持ち主へ。入門したての生徒さんの笑顔
私がバトンを渡そうと考えたのは、最近着付け教室に入門したばかりのAさんでした。
Aさんは、まだ着物の道具が揃っておらず、「良い長襦袢は高くてなかなか手が届かない」と話していたことを思い出したのです。そして、なによりも、身長178㎝もある彼女にあう長襦袢はそうそうなく!
「実は、あなたにぴったりではないかと思う長襦袢があるのだけど…」と相談すると、Aさんは目を丸くして驚いていました。
足りない部分に足し布をして、身丈をだして。
「こんな素敵なものを譲っていただけるなんて…!大切に使います!」と、Aさんが本当に嬉しそうに微笑んでくれた瞬間、私の胸の中の迷いはすべて晴れました。
私にとって「サイズが合わない長襦袢」でしたが、Aさんにとっては「着物ライフをスタートさせるための、最高の一着」になったのです。
着物と、人との温かい縁に感謝を込めて
今回の出来事を通して、改めて「物の循環」と「縁」の大切さを痛感しました。
着物は、洋服と違い、手入れをすれば何十年も着続けられるサステナブルな文化です。そして、袖を通してその良さを分かってくれる次の世代へ、こうしてバトンが繋がっていくことが、着物文化の豊かさなのだと感じています。
長襦袢は、新しい持ち主のもとで、これからたくさんの着物姿を支えてくれることでしょう。
タンスで眠らせることなく、物を活かすことができた喜びと、着物を通して繋がった温かい生徒さんとの縁に、心から感謝しています。

本日も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
KIMONO DE AKIKO では、初心者の方から経験者の方まで、着物を楽しむための様々なヒントやレッスンをご提供しております。
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