top of page
PASSIONEER


À la recherche du temps perdu/なぜ世界のデザイナーは縮緬を使わないのか
強撚糸で織られた一越縮緬のシボ。着物の動きとともに美しいドレープを生む。 世界のファッションデザイナーはシルククレープをよく使う。しかし日本の縮緬はほとんど使われない。なぜだろうか。 その理由は単純だ。 縮緬は着物という構造のために設計された布だからである。 まず知ってほしいのは、着物の生地である反物の幅だ。反物の幅は約38cm。この幅がまず世界基準を満たさない大きな理由である。 生地の幅が38cmしかないとなると、洋服のような立体裁断やバイアス利用を考えるとそもそも難しい。これがまず着物の生地が洋服に使われない大きな理由のひとつだ。 現代の着物でよく問題になるのが裄の長さである。昨今は日本人も体格が大きくなり、若い世代は腕も長い。そうすると、反物の幅が38cmしかない場合、同じ地の目で袖を作ることが難しくなる。 西洋服 着物・縮緬 広幅生地(120〜150cm) 反物(約38cm) 立体裁断 直線裁ち 重力で生まれるドレープ 動きで生まれるドレープ 安定した織物構造 強撚糸によるシボ 洋服のように生地を横にして使えばいいのでは、と簡単に思われる

Hamanaka Akiko
6 日前読了時間: 3分


À la recherche du temps perdu/なぜ直線裁ちの衣服は100年後も着られるのか
直線裁ちは、解体と再生を可能にする構造として2000年続いている。 和服は仕立て直しが前提の衣服である。家族が多かった時代、子供が成長すれば着物は解かれ、洗われ、再び仕立て直された。袖が傷めば、その部分を外し、別の布を組み合わせ、新たな衣服として生まれ変わる。この相互関係を延々と繋ぎ続ける構造こそが、直線裁の本質である。和裁の世界では繰り回しと呼ばれるこの営みは、限られた資源の中で絹という貴重な素材を慈しみ、継承するための合理的な方法であった。 直線裁の着物は、8枚の布から構成されている。これらの布は解いて洗うことで、再び元の反物の形へ戻ることができる。つまり、着物は完成された最終形ではなく、常に再構築される可能性を内包した構造体なのである。これは紬に限らず、柔らかものと呼ばれる染めの着物にも共通する。元来、着物は水洗いが可能であり、仕立て直しを繰り返すことを前提として存在している。 直線裁が2000年近く維持されてきた理由は、単なる伝統の継承ではない。それは合理性の結果である。反物という規格化された布を無駄なく使用し、誰の身体にも適応し、そして

Hamanaka Akiko
2月26日読了時間: 3分
bottom of page