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À la recherche du temps perdu — ミセス・ハリス、パリへ行く

執筆者の写真: Hamanaka Akiko
Hamanaka Akiko
8 時間前
読了時間: 2分

『ミセス・ハリス、パリへ行く』





【ドレスは、夢を着る人のもとへ。】



映画を見た。

そこかしこに懐かしいパリの香りがして、夢を見ているようだった。

原作は、イギリス人作家ポール・ギャリコの小説。


ハリス夫人は、ロンドンで家政婦をしている。

かなりの売れっ子で、働き詰めの毎日。

ある日、働き先のお宅で、奥様が持つディオールのドレスに一目惚れする。

そして、自分もディオールのドレスを買おうと決意し、必死にお金を貯める。

やっとたどり着いたパリのディオールのメゾン。

ハリス夫人は、別世界に困惑する。

けれど、メゾンは夫人に魔法をかけてしまう。


コレクションでドレスを見たときの、夫人の表情は喜びにあふれている。

白衣のお針子たちに仮縫いをしてもらう姿は、微笑ましい。

サルトルの実存主義を愛読する、トップマヌカン。

素敵な侯爵にお茶に誘われ、恋する気持ちを思い出す。

侯爵は夫人に、寄宿舎時代の掃除婦「ミセス・モップ」を重ねていた。

ここは、切なかった。

ロマンチックなパリで、夫人は自分の存在意義を見つける。

世界に一枚しかない、オートクチュールのドレスを持つ喜び。

それは同時に、オートクチュールが経営の危機をもたらす時代の幕開けでもあった。


「ハリスさん、あなたはディオールのドレスをなぜ、どこで着るの?」

「私は夢が欲しいの」


人間なら誰しも持つ、物欲。

自分の存在意義。

ドレスを持つことで、自分の存在を確かめる。

夢を持ち続ける意味を悟る。


そのドレスは、何人もの人の手から生まれる。


和裁も同じ。

人の手で形になり、纏われて、はじめて息をし始める。動き始める。

メゾンでも、作業所でも。

一枚の生地で、着る人の存在意義を示すことができる。



You may never wear a kimono. But you can wear the art of Wasai.

On ne porte pas forcément un kimono. Mais on peut porter l'art du Wasai.

— PASSIONEER

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