À la recherche du temps perdu — ミセス・ハリス、パリへ行く

『ミセス・ハリス、パリへ行く』
【ドレスは、夢を着る人のもとへ。】
映画を見た。
そこかしこに懐かしいパリの香りがして、夢を見ているようだった。
原作は、イギリス人作家ポール・ギャリコの小説。
ハリス夫人は、ロンドンで家政婦をしている。
かなりの売れっ子で、働き詰めの毎日。
ある日、働き先のお宅で、奥様が持つディオールのドレスに一目惚れする。
そして、自分もディオールのドレスを買おうと決意し、必死にお金を貯める。
やっとたどり着いたパリのディオールのメゾン。
ハリス夫人は、別世界に困惑する。
けれど、メゾンは夫人に魔法をかけてしまう。
コレクションでドレスを見たときの、夫人の表情は喜びにあふれている。
白衣のお針子たちに仮縫いをしてもらう姿は、微笑ましい。
サルトルの実存主義を愛読する、トップマヌカン。
素敵な侯爵にお茶に誘われ、恋する気持ちを思い出す。
侯爵は夫人に、寄宿舎時代の掃除婦「ミセス・モップ」を重ねていた。
ここは、切なかった。
ロマンチックなパリで、夫人は自分の存在意義を見つける。
世界に一枚しかない、オートクチュールのドレスを持つ喜び。
それは同時に、オートクチュールが経営の危機をもたらす時代の幕開けでもあった。
「ハリスさん、あなたはディオールのドレスをなぜ、どこで着るの?」
「私は夢が欲しいの」
人間なら誰しも持つ、物欲。
自分の存在意義。
ドレスを持つことで、自分の存在を確かめる。
夢を持ち続ける意味を悟る。
そのドレスは、何人もの人の手から生まれる。
和裁も同じ。
人の手で形になり、纏われて、はじめて息をし始める。動き始める。
メゾンでも、作業所でも。
一枚の生地で、着る人の存在意義を示すことができる。
You may never wear a kimono. But you can wear the art of Wasai.
On ne porte pas forcément un kimono. Mais on peut porter l'art du Wasai.
— PASSIONEER
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