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À la recherche du temps perdu / 眠り姫、100年の目覚め

  • 執筆者の写真: Hamanaka Akiko
    Hamanaka Akiko
  • 4月9日
  • 読了時間: 2分


ALT: 1928年昭和天皇御大典に参列した曾祖父母。曾祖父は軍服姿、曾祖母は宮中のしきたりに則り小袿姿で並ぶ
1928年、昭和天皇御大典。曾祖母はしきたりに則り小袿姿で参列した。この衣装が、100年の旅を始める。

1928年、昭和天皇御大典に参列した際の曾祖父母の写真。曾祖母は宮中参列のしきたりに則り小袿(こうちぎ)姿で参列。嫁として嫁いだ祖母は、なんと戦後の食糧不足の時期にもこの衣装だけは売らずに手元に残した。姑が生きていたからという理由があるだろうが、それにしても誉だったことがよくわかる。 1958年、曾祖母の孫にあたる私の母が嫁ぐことが決まる。祖母はなんと、この小袿一式を嫁入り道具のひとつとして自ら布団に仕立てた。小袿だから何枚も重ね着をしているのだがそれらをすべて解き、一枚の布に戻した。これも和裁のなせる技。解いて仕立て直しができる。着物ではなく、布団に!祖母は嫁ぐ娘のために布団をこしらえ娘に持たせた。ところが。父と母はこの布団で寝ることはなかった。農家出身の父が、おそれおおいと嫌がったらしい。かくして、布団に変わった小袿は押し入れの奥で長い長い眠りにつく。70年を超す長い長い眠りから目覚めた眠り姫は、今度は異なる相手のために美しさを見せることになる。玄孫だ。私はこの小袿を再度解いた。布団から再度一枚の布に戻し息子の羽織を仕立てた、そして、自身のために袋帯と。こうして、100年を経て眠り姫は目覚め、その美しさをいま陽の光にさらす。織物とはかくも引き継がれるものだ。これからさらなる100年の冒険が始まる。


小袿から仕立て直された紺地松葉丸文様の羽織を着た男性。白地に牡丹模様の袴と合わせた正装姿
小袿は解かれ、玄孫の羽織となった。100年前には想像もしなかった姿で、陽の光にさらされる

小袿から仕立て直された袋帯を着用した後ろ姿。藤色の縮緬着物に紺地丸文様の帯が映える
そして、自身のために袋帯を。眠り姫は目覚め、その美しさをいま陽の光にさらす。

着物をきられなくても、和裁を纏うことはできる。ーPASSIONEER


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