À la recherche du temps perdu / 着物は完成しない
- Hamanaka Akiko

- 4月2日
- 読了時間: 1分

1950年代の母の振袖を2010年代に娘の成人式の着物にするため染め変えた。深い深い海の底の色にしたため、金彩のみが浮きだった。神秘的な外見が、娘の未知なる未来を暗示するかのようで、不安や好奇心をかきたてた。
その、染め変えた振袖ももう、着られなくなった。そう、着物は姿かたちをその時々で変えて生まれ変わる。直線裁ちだからこそできる生地の生命。絶えることのない命。着物はただ保管して100年生きるのではない。姿を変えて我々の前に現れる。100年前には想像もしなかったであろう姿になることもある。
娘は振袖はもう着られない。着物には、伝統的な規則がある。この神秘的な深い青をどう活かすべきか。解いて、広げて、時間をかけて考える。
誰の袖を通るのか。90歳になった母のもとへ帰るのか。
ハサミを入れるのはまだ先だ。
そしてもう一枚。赤い小紋も、その役目を終えようとしている。
さあ、この子はどんな形になり、どこへお嫁に行くのやら。




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